ロッキー山脈でバスの運転中、クーラントが破れた苦い過去②
バスの状況は変わらないが、時間は刻一刻と過ぎ去っていく。
特殊なツアーで、観光をしながら弾丸でカルガリー空港へ行って、その日のうちに東海岸のトロントに向うといった状況だ。
飛行機に間に合わなければ、全ての日程が狂ってしまう。
そんな状況の中、お客様もバスガイドもイラついているのが解る。
プレッシャーの中、私はひたすらアクセルを踏み続ける。
しかし、私は災厄の状況になってしまった。
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確実に飛行機に間に合わないことになってしまったのである。
カルガリーに行く途中、パッシングしてくるバスがいて、停まると、日本人社長が乗っていた。
バスを他で借りてきて、コンタクトしてくれたのだ。
神を見たかのような助け舟であったが、状況は災厄の結果となっている。
もちろん会社が、カルガリーでの宿泊費用負担をしなければならない。
なにより海外旅行に来ている方たちの思いではどうなんだと、謝っても謝っても許してくれない状況である。
後で聞いたのだが、バスを直すにも高額な費用がかかった。
社長に謝っても、首になっても仕方の無い状況。
そんな私を、社長は「仕方ないさ」と、それだけのコメントで終わらせた。
他のスタッフが嫌味を言ってきても、社長が勇める。
私の英語の語学力が堪能であれば、飛行機に間に合った対処が出来たことは知っている。バスの故障も最小限に抑えることが出来たかもしれない。
そんな状況を知っている中で、社長は私を許している。
なんと心の広い人なんだと、頭があがらない。そんな人のそばで仕事をしていたことを痛感する。私は幸せです。
こんなにすばらしい人と出会えたことを心にかみ締めた。
追記で、結婚したときの新婚旅行でロッキー山脈と社長に再び会いに行った。元気であったが、そのときは癌で余命宣告をされていた状況でした。
最後に感謝の気持ちを伝えることができたのが何よりで、これから連れそう嫁も紹介出来たことが、何よりの新婚旅行でした。
ありがとうございます、第二のふるさとロッキー山脈「バンフ」。
ありがとうございます、社長。
私は一生忘れません。
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